幽かに生きてる

日常を考えています。日常エッセイ風一人コントブログです。

15は戦い

体調不良の原因は暑さのせいか空腹のせいか寝不足のせいかその全てか。起床後に大量の汗をかいていたのでシャワーを浴びた。熱い湯でさらに汗をかく始末になりそうだったので、最後は水を浴びてシャワー室を出る。依然、胸の辺りがムカムカしている。身体を拭いて服を着る。空腹を感じてはいるが、食欲はない。仕方なく義務のように1枚の食パンにチョコクリームをぬって食べた。私は歯を磨いて、外出した。照り返しのきつい道路を歩いていると、頭はガンガンする。眠気もひどい。一度強く目を閉じると一瞬ではあるが幾分か楽になった。

職場につくと見知らぬ快活な女性がいた。女性は声が大きく、得意げにおしゃべりをしていた。専門分野の話をしているらしい。別に聞くつもりもなかったが嫌でも聞こえてくる。私はイラついた。彼女にすれば全く理不尽な話である。しかしそれも仕方ない。本日の私は虫の居所が悪い。何せ、現在は他のバイトが休みを取ったため、8連勤の真っただ中であるのだ。普段は感情を表に出すことは少ない。他人からすれば比較的のんびりとした人間に見えていると思う。私もそうでありたいと思っている。しかしつい、ほとんど無意識に私は舌打ちをした。私の周りで日常をつなげる緩くたわんでいたはずの糸は知らぬ間にピンと張りつめている。

何でもないですよ。と言わんばかりに伸びをしてみせて、周りを見渡す。気まずい。すると女性がすこし声を落としておしゃべりの続きをはじめた。いや、別にいいよ。気まずかったし、助かった部分もある。でも、まだ話すんかい。と思いつつ私は淡々と業務をこなす。あーバイトやめたいな。私はバイトをやめるため、何か稼ぐ方法は無いかと考えた。

webサービスを作る。商品となる物を作る。株。だいたいこの程度しか浮かんでこない。やっぱりこのインターネット社会、電車を見渡してもほとんどがスマホに釘付けだ。やるならwebだよなーとか思いつつ、どんなサービスがいいかな、月々の売り上げはいくら以上で足りるな、個人事業主になるのだから税金対策もしないとな、とかぼんやりと考えていた。しかし、私には何のスキルも無ければ、何から始めればよいかもわからないし、簡単ではないことも分かる。ましてや何をするかも決まっていない。だいたい本気でやることを見つけた人間の決断は瞬間的で気が付けば、まずやってみているのだろう。ただうだうだ考えているだけの私に少しの本気度も伺えない。

結局、私はこうやって乏しい空想で現実逃避をして、時間を過ぎるのを待っているに過ぎないのだ。ある程度時間が過ぎれば、この嫌な気持ちも消える。また訪れることは分かっているが、どうせ今この時間をやり過ごせばいいと思っているに違いないのだろう。

私は動き出す前に何かと考え過ぎるのだ。本当に自分の嫌なところである。今までの人生で、何か一つでも身につけておけばこれほどの不幸も感じていないはずだ。しかし現在の私には何の専門的な知識も無ければ、スキルもない。これが結果である。あの快活な彼女を前にして得意になれることなど一つもない。彼女にとって、これほどつまらない人間はいないだろう。これほど頼りない人間もいないだろう。上から目線で当たり前のように、何でやらないの?とか言ってくるのであろう。それにおどおどして返答できない私にあきれるだろう。だから私は打ち込むのだ。私の思いをフラットに表現する方法は匿名のブログにタイプするしかないのだ。もはやこれしか自衛する方法はない。同志がいることは知っている。私も戦っている。